居場所 vol.9 | 電車に乗ってるあたまの中

居場所 vol.9


そこからしばらくの間、
自分が何をして、何日間過ごしたのか
記憶がない。


気付いた時には、
また部屋の中央に、いた。

今度は引き出した石壁の一部を、

椅子のようにして座っていた。



宙を仰ぐと、相変わらず雲のない天から

日の光が降り注ぐ。


それとは対照的に

自分に「束の間の喜び」を与え、絶望を押し付けた

あの陰気な暗闇は、

こちらを監視するように、

じっとりと空間を支配している。



「やることがない・・・

つかれた・・・」


頭で思ったことを口に出してみる。


夢物語のつづきでも考えて

楽に狂っていこうか・・・。


そう思い立ち、出来る限りの想像を膨らます。


そんな馬鹿な自分を照らし出す光が

異常に憎く、

ふらりと立ち上がり、あの闇の一角へと

すり寄っていった。


こちらの方が自分にはお似合いだ。

ここでずっとうずくまって、

終いには腐っていくんだ。


腐った身体は苔むして、ここの壁と一体となり、

そしてこの空気と一体になるんだ。



暗闇に目がなれてきた。

まさに、「壁」と一体になるかと思った瞬間。


壁面に「それ」をみつけた。