居場所 vol.8 | 電車に乗ってるあたまの中

居場所 vol.8


ぽかりと間抜けに開く出口に
身を縮めこめ、
中の更なる暗闇に
あらゆる希望をもって手を伸ばした。


ひたっ。


指先に走った冷たい感触に驚き、
肩が痙攣を起こしたように動いて
手の甲を石壁の穴の上部壁に
強打した。


それと同時に
迫り来る絶望を信じまいと
嘘のように脈拍が高まる。






塞がっている・・・。


石壁の一部が抜けたその先は、
さらに同じ石壁だった。



ぽかりと空いた空間は、
先ほど抜けたブロックと
同じだけしか空いていなかった。




なんなんだ!


怒りともつかない、今までに
感じたことのないものが
肩や下腹部や四肢の末端に溜まっていく。
呼吸が出来ない。


お、お、と声にならない
音が口から漏れる。


出られない。
出られない。
出られない。


出られない、と何度も口走っている自分を
どこか客観的に見る自分がいた。