居場所 vol.7 | 電車に乗ってるあたまの中

居場所 vol.7

予想外の展開に動悸が高まる。


どうやら以前ここを壁づたいに一週した際には、
主に肩から上の高さしか調べていなかったため、
足元の違いに気付けなかったようだ。


興奮に震える身体を
鼻から呼吸することで抑え、
取っ手をぎしりと握り締めた。


とりあえず右横にぐっと引いてみた。
反応のないことを確かめ、
今度は左横。

びくともしない。


次に腹に力を入れ、手前に体重をかけ
思い切り引いてみる。


驚いたことに、手ごたえがあった。


意外にもすんなり、
コココココ・・・

という音を立てて
滑らかに石の壁の一部が
引き出しのように抜けた。


興奮によってがたがたと抜けそうになる両腕で、

精一杯それを引き出した。

すると、丁度50cm四方ほどの
ブロック状に切り取られた石の塊が
石壁より切りはなされた。


出口だ!抜けれる!


そう叫んだ瞬間、

驚くほどの涙があふれ、それとは反対に
のどが張り付くほど渇いた。

嗚咽とも笑い声ともとれない
声が不自然に自分の口から漏れた。