居場所 vol.4 | 電車に乗ってるあたまの中

居場所 vol.4

それから幾日か過ぎたようだが、

「ここ」から出る方法が見つからなかった。


かわりに不思議と腹もすかぬまま、

「ここ」は一体どこなのか、と

思いをめぐらす日々がつづいた。



日に日に微細なことに気付き出す。

当初は、耳鳴りかと思っていた音も、落ち着けば

遠くでごうんごうんと唸る、機械音とも取れなくない。


唯一の希望とも言える、頭上の天窓のようなものからは、

不思議と雲らしきものが見えたり、雨粒が落ちてくることがない。

雨が降らない、万年灼熱の砂漠のようなところに

この建物はあるのだろうか。


いや、しかしその割に、

ここの温度は晴天の割りに、若干肌寒いくらいだ。

適度な湿度も、肌や髪の具合からあるように思える。



暇な時間の妄想はこれらの事実を元に

繰り広げられていった。



まず、見える空に、「雲がない」という点だ。

いくら晴天続きといっても、

雨が降らないのはまだしも

連日雲がない晴天がつづく筈が無い。



・・・もしかしてここは雲が眼下に広がるほどの

おそろしく高度のある場所なのではないろうか。

若干の肌寒さから考えても十分あり得る話しだ。


そして遠くで相変わらず唸っている

機械音。

なにか強大なものを動かしているに違いない。


そこで、不思議なことに、自分がわくわくしていることに

気づき、驚いた。