居場所 vol.1
背中があたたかい、と思い目が覚めた。
気づくと自分はうつぶせの状態で、ひんやりとした石畳の上に
頬をくっつけて寝転がっていた。
頬のひんやりとした感覚とは逆に
背があたたかいのは、上から降り注ぐ
日の光のせいだろう。
なぜ、こうしているのか。
は、と我に返り、腕を立てて上体をそらし、
当たりを見回した。
静かだ。
そして、思考が止まる。
今自分のいる状況にのどの奥がつまった。
石畳とおもわれていた平面は、
床だけでなく、四方八方、まわりをぐるりと
囲んでいた。
極度な緊張に吐き気がするのをおぼえながら、
思わず日の光が降り注ぐ真上を仰ぐ。
10メートルほどだろうか、
ぎっしりと詰まる石の壁の出口かのように
頭上はぽっかりと空いて、青空がのぞいている。